農作業研究
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研究報文
南関東におけるヘアリーベッチ導入が飼料用トウモロコシのリン吸収,生育・収量に及ぼす影響
肥後 昌男郡司 賢人卯木 崇光坂本 実由季立脇 祐哉磯部 勝孝
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2020 年 55 巻 1 号 p. 35-42

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抄録

マメ科作物のヘアリーベッチは大気中の窒素を固定することで,次作物に必要な養分吸収に寄与している.このように,土壌への養分蓄積効果が高いヘアリーベッチであるが,土壌中へのリン供給面から後作トウモロコシの生育,収量性を検討した研究は少ない.そこで本研究では,冬作緑肥としてマメ科のヘアリーベッチ(Vicia villosa Roth.)を栽培・すき込みした場合の後作トウモロコシのリン吸収や生育,収量を調査した.本研究の結果,後作トウモロコシ播種前土壌において,電気伝導度(EC),硝酸態窒素,酸性ホスファターゼ活性(ACP活性),アルカリホスファターゼ活性(ALP活性)でベッチ区が休閑区に比べ有意に高い値を示した.刈取調査より,トウモロコシの草丈と茎径は2017年のV6期で,LAIは2016年のV6期,茎葉乾物重はR1期でベッチ区が高くなった.地上部リン吸収量は2016年のV6期およびR1期にてベッチ区で有意に高くなる傾向がみられた.収量調査も同様に,2016年の子実重,子実粒数ともにベッチ区において高くなる傾向がみられた.これらの結果より,リン吸収,乾物生産,収量性ともにベッチ区が休閑に比べ劣るということはなく,むしろ土壌内窒素やホスファターゼ活性が休閑区に比べ高まることで,生育が改善され収量増加につながった可能性がある.ただし,2017年においてはベッチ区でリン吸収,生育および収量は高くなる傾向はみられたものの,有意差は認められなかった.このことを考慮すると,ヘアリーベッチ導入によるリン供給能については,今後さらなる調査が必要であると考えられる.

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© 2020 日本農作業学会
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