農作業研究
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研究論文
水稲-小麦-大豆の2年3作で輪作される水田転換畑における小麦の生育と低収要因
川原田 直也田畑 茂樹内山 裕介水谷 嘉之大西 順平
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2022 年 56 巻 4 号 p. 227-234

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抄録

水稲–小麦–大豆の2年3作で輪作される水田転換畑において小麦の収量向上を目的として,生産者が管理する26ほ場の小麦の収量と生育に関連する草丈,茎数,葉色,生育指標値(草丈×茎数×葉色/10,000),耕種概要およびほ場に関連する排水性,土壌物理性,土壌化学性との関係を調査・解析した.生育面では,収量は止葉抽出始期の生育指標値および出穂期の葉色と有意な相関関係が認められ,多収ほ場では止葉抽出始期に高い生育指標値(120程度)が確保されるとともに,出穂期の葉色が高く維持されていた.ただし,収量と窒素施肥量を含む耕種概要間には相関関係は認められなかった.ほ場に関連する項目では,収量は作土層の滞水時間,地下水位,作土下層の仮比重および孔隙率と有意な相関関係が認められ,これらが小麦の低収要因となっていることが明らかとなった.このことから,収量を向上させるためには,①緻密化した作土下層の土壌の物理性を改善すること,②まとまった降雨時に作土層が滞水する時間を減少させること,③地下水位が地表面から40 cm未満に上昇する日数を減少させること,が必要であると考えられた.また,作土下層の土壌物理性および地下水位の40 cm未満への上昇日数と,作土層の滞水時間の間にも有意な相関関係が認められることから,緻密化した作土下層の物理性の改善および地下水位の上昇を抑えることにより,作土層が滞水する時間を短縮できる可能性があると考えられた.

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© 2022 日本農作業学会
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