農作業研究
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タマネギ直播栽培のための溝畝施肥播種機の開発
松尾 健太郎鎌田 えりか石井 孝典
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2022 年 57 巻 3 号 p. 155-162

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抄録

タマネギ直播栽培の畝立て,直下施肥,溝底播種を1工程で行う作業機(以後,溝畝施肥播種機)を開発し,覆土板の設定と覆土厚の関係や作業速度の上限を明らかにした.さらに,溝畝施肥播種機を使ったリン酸直下施肥や溝底播種が,秋播きのタマネギ直播栽培の出芽率や初期生育および収量に与える影響を調査した.溝畝施肥播種機の特徴は,畝成型部の天板に取り付けられた溝成型器が播種機の下まで伸びて,その伸びた部分の中で局所施肥と播種を行い,覆土を溝の壁面を削って行うことにある.覆土板の取付け位置と覆土厚の関係を調査した結果,種子用の覆土板は改良の余地があるが,肥料用の覆土板の取付け位置によって種子と肥料の覆土厚が調節可能であった.作業速度は,速いほど種子が溝の端の方に寄り,1.2 km/h以上では畝が立たない可能性があった.栽培試験を行った結果,畝の上にある小さな溝の底に播種した場合(以後,溝畝播種)は,平畝に播種した場合(以後,平畝播種)よりも出芽揃いが早くなる傾向があった.また,生育期間中の草丈は,溝畝播種にリン酸直下施肥を行った場合(以後,溝畝播種+リン酸直下)が他の場合よりも有意に高くなり,同様に展開葉数も溝畝播種+リン酸直下が有意に多くなった.80%以上倒伏した日は,平畝播種よりも溝畝播種や畝溝播種+リン酸直下で早くなる傾向がみられ,一球重や収量は,溝畝播種+リン酸直下が他の方法より有意に高かった.

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© 2022 日本農作業学会
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