農作業研究
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研究論文
チゼルプラウによる深耕が水稲-小麦-大豆の2年3作で輪作される水田転換畑における作土下層の土壌物理性および作土層の排水性に及ぼす影響
川原田 直也田畑 茂樹内山 裕介
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2022 年 57 巻 4 号 p. 201-214

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抄録

水稲–小麦–大豆の2年3作で輪作される水田転換畑において,小麦および大豆の低収要因とされる作土下層の土壌の緻密化,作土層の排水性の不良を改善することを目的として,2年3作輪作体系下でのチゼルプラウによる合理的かつ効果的な耕深および深耕の頻度を検討した.その結果,水稲収穫後(小麦前)にチゼルプラウを用いて深耕すると,緻密化した作土下層の土壌物理性が改善し,小麦および大豆の生育期間を通じて作土層の排水性が改善すること,チゼルプラウで深耕する際の最適な耕深としては,作土層の排水性,播種時の作業精度,深耕に伴う作業性の低下およびその他のリスクも加味し,22 cm程度が望ましいこと,また,作土下層の土壌物理性の改善効果は,小麦および大豆の両作前での深耕と,小麦前のみに深耕した場合で同等であり,いずれの場合にも,大豆翌年の代かき移植水稲栽培により,次作小麦への深耕の効果はほとんど得られないことが明らかとなった.これらのことから,水稲–小麦–大豆の2年3作で輪作される水田転換畑において,小麦および大豆の低収要因としての作土下層の土壌の緻密化,作土層の排水性の不良を改善するためには,水稲収穫後(小麦前)にチゼルプラウを用いて22 cm程度の耕深で深耕し,その改善効果を小麦および大豆の両作で享受することが合理的かつ効果的であると考えられた.

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© 2022 日本農作業学会
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