農作業研究
Online ISSN : 1883-2261
Print ISSN : 0389-1763
ISSN-L : 0389-1763
研究報文
UAVで撮影したRGB画像の教師あり分類によるサツマイモ基腐病の被害株率の推定
落合 将暉島 武男石井 孝典
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 60 巻 1 号 p. 37-45

詳細
抄録

本研究では,UAV(Unmanned Aerial Vehicle)で撮影したRGB画像の教師あり分類により,サツマイモ基腐病の被害株率の推定と被害状況の可視化を試みた.まず,画像内のかんしょ栽培圃場の被覆状況を分類するために,3種類の教師あり分類の精度を比較した.その結果,ランダムフォレストが最も分類精度が高く,RGB画像の色情報に基づき圃場内の健全葉,黄化葉,枯死葉,マルチ,土壌を0.880の正解率で分類できた.次に,分類された黄化葉と枯死葉の合計割合と地上調査による被害株率との関係を解析したところ,有意な相関関係がありR2が0.41以上の線形回帰式が得られたことから,基腐病の被害株率を推定できると考えられた.さらに,作成したランダムフォレストモデルをRGB画像に適用することで,基腐病による被害発生・拡大状況とその経時変化を可視化できることが分かった.一方,雑草が多い圃場では画像上でかんしょの茎葉状態を評価できないため,推定精度の低下が顕著だった.以上のことから,雑草などによる被覆に留意する必要があるものの,今回作成したモデルを用いることで,UAVで撮影したRGB画像からサツマイモ基腐病の被害株率の推定と被害状況の可視化が可能であることが示された.

著者関連情報
© 2025 日本農作業学会
前の記事
feedback
Top