抄録
歯科衛生士は, 口腔機能に関する評価を行う一職種として, 評価を行うとともに介護予防にかかわる必要がある。K女子短期大学歯科衛生学科では, 学生の高齢者施設における歯科保健指導や口腔機能評価に関する実習を取り入れ, 集団を対象とした歯や義歯の清掃方法や嚥下に関する講話を行うとともに, 個別に口腔清掃および口腔機能評価を実施している。しかしながら, 要介護高齢者に対する口腔機能訓練の実施には至っていない。本報告では, 歯科衛生士学生による要介護高齢者に対する口腔機能評価実施の取り組みを通して, その結果を紹介した。要介護高齢者62名の対象者について, RSSTの評価結果が3回未満の者をA群, 3回以上の者をB群とし, オーラル·ディアドコキネシスおよび舌の運動に関する評価結果を比較した。その結果, オーラル·ディアドコキネシスの評価結果は, 両群ともにそれらの回数は低く, A群とB群間で, /pa/, /ta/, /ka/, その繰り返しのすべてで有意差は認められなかった。舌の運動の評価結果は, A群よりもB群のほうが「左右往復可能」「上下往復可能」の者の割合が多かった。ただし, 今回の評価からは, 舌の運動の速度やリズムなどについては不明であった。両群ともに, 口腔ケアを行ってから各口腔機能評価を行い, 誤嚥性肺炎などのリスクを回避する必要性が示唆された。