老年歯科医学
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原著
周期性伸展刺激が RAW264.7 細胞と MC3T3-E1 細胞に与える影響
牧平 清超峯 裕一首藤 崇裕寺田 善博二川 浩樹
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2012 年 27 巻 2 号 p. 77-86

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抄録
顎堤の骨吸収は,機械的刺激による骨造成と骨吸収の不均衡が一つの原因と考えられる。近年,荷重や張力などの機械的刺激による骨芽細胞や破骨細胞への分子レベルでの影響を検討することが可能となってきた。そこで本研究では,機械的刺激による破骨細胞の分子レベルでの変化を明らかにすることを目的に,周期性伸展刺激がMC3T3-E1 細胞および RAW264.7 細胞に与える影響について検討した。可溶性 RANKL は RAW264.7 細胞における TRAP および cathepsin K mRNA の発現を,コントロールと比較して有意に促進した(ANOVA,p<0.01)。一方,伸展率5% の周期性機械刺激は,可溶性 RANKL による TRAP と cathepsin K mRNA の発現増強を有意に抑制した(p<0.05)。この伸展率 5% の周期性機械刺激による TRAP mRNA の発現抑制は,イオノマイシン存在下ではみられなかった。一方,同条件である伸展率 5% の周期性機械刺激は,MC3T3-E1 細胞の Osterix および ALPase mRNA の発現を有意に抑制した(p<0.05)。反対に RANKL および OPG mRNA の発現を有意に促進した(p<0.05)。以上の結果より本条件の機械的刺激は,骨芽細胞と破骨細胞の分化を抑制する可能性が示唆された。
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© 2012 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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