老年歯科医学
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調査報告
10 年間継続して口腔ケアを実施した老人保健施設における入所者の実態調査
五十嵐 三彦五十嵐 尚美梁島 悠
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2016 年 31 巻 2 号 p. 141-147

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抄録

 近年増加する老人保健施設において,歯科医療がどのように寄与できるかが課題である。

 本研究は,10年間継続して口腔ケアを実施した老人保健施設における入所者の実態調査を検証し,以下の結果を得た。

 咬合の状態および歯の有無は,誤嚥性肺炎の既往との間に有意差が認められなかった。また,誤嚥性肺炎の既往は要介護度,認知症度,食事形態において統計学的な関連が確認された。そして,胃瘻および経鼻栄養胃管装着の有無においては,要介護度および食事形態との関連が認められた。

 口腔ケアを施設内で継続的に実施することで,口腔の衛生状態を改善し維持することができた。その効果として歯の有無による誤嚥性肺炎の既往に有意差が認められなかった。また,広義の口腔ケア(歯科治療・嚥下リハビリテーションを含む)の実施により,認知症および要介護度の進行を防げること,および間接的に誤嚥性肺炎および胃瘻等装着の予防になることが示唆された。また歯科治療,特に義歯を装着し使用できるように歯科医師が行うことで,咬合の維持および普通食の経口摂取が要介護度の進行を防ぐことの一助となることが推察された。

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© 2016 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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