高齢者は,老化に伴い筋肉が減少しサルコペニアといわれる状態になりやすく,また種々の機能低下をきたしフレイルに陥りやすい。特に歯科領域では嚥下機能低下,味覚・嗅覚の低下,歯を含めた口腔機能低下などのために食事摂取量が減り,そのうえに他の疾患の合併なども加わり,栄養不良を示す患者が多い。また,逆に栄養不良は嚥下障害を含めた口腔機能の低下をきたすという悪循環に陥る(フレイルサイクル)。高齢者のフレイルでは認知症や転倒などの頻度が高くなり,寝たきりの原因になる可能性が高い。フレイルによる悪循環を断ち切るためにも歯科の役割は大きい。