2017 年 31 巻 4 号 p. 417-424
本研究は,在宅療養中の胃瘻患者に対して経口摂取再開の検討を開始するうえで,患者本人・家族と介護支援専門員間での経口摂取に対する希望の乖離を明らかにすることを目的に実施した。
対象は,東京都北多摩南部医療圏6市に在住している胃瘻患者および担当の介護支援専門員で,アンケート調査に回答を得た44組(患者:男性23名,女性21名,平均年齢79.0±10.4歳)である。胃瘻患者の全身状態,認知症の進行程度,経口摂取状況,サービスの受給状況,家族および介護支援専門員が推察する患者本人の経口摂取に対する希望を調査した。
経口摂取に対する希望に関して,胃瘻造設にいたった原因疾患別では,神経難病による群で家族,介護支援専門員の回答ともに経口摂取への希望が多くみられた(p<0.05)。経口摂取なし,かつ意思表示困難群では,家族の希望と介護支援専門員との認識の間に差が認められた(p<0.05)。
経口摂取なし群かつ意思表示困難な群では,胃瘻患者本人・家族が経口摂取を希望しているものの,担当介護支援専門員の認識との間に乖離がみられ,家族のニーズが汲み取られていないことがうかがわれた。胃瘻患者の経口摂取再開を評価,検討していくためには,介護支援専門員が患者本人やその家族から経口摂取に対する希望を十分に聞き取り,把握することが重要であると示された。