2017 年 32 巻 2 号 p. 89-95
退院後の早期に在宅療養中の患者の食事と栄養状態を把握して,その状況に応じて栄養評価と摂食嚥下リハビリテーションを実施することは在宅療養の継続に重要である。今回われわれは,胃瘻造設して退院した在宅高齢者に対する早期の栄養評価と摂食嚥下リハビリテーションを併用した1例について報告する。
患者は大脳皮質基底核変性症が原疾患の80歳男性で,認知機能障害と摂食嚥下障害が進行して誤嚥性肺炎を併発したことを契機に胃瘻を造設して退院した。われわれは,訪問歯科診療を実施した。在宅療養における状態は意思疎通が困難で寝たきりであった。身体計測と血液検査からの栄養評価は軽度栄養異常で,食事は胃瘻より濃厚流動食を摂取していた。在宅では経口摂取していなかったため,嚥下内視鏡検査を実施して経口摂取改善を目標とした。覚醒状態の改善や姿勢の保持が困難だったため,摂食機能訓練は間接訓練から開始して徐々に直接訓練も併用して介護者への指導も実施した。胃瘻からの経管栄養で栄養状態は改善したが嚥下障害の改善はされなかった。しかし,歯科訪問診療で栄養評価後に,摂食嚥下障害に対する間接訓練および直接訓練の実施や介護者への指導を実施して,さらに嚥下内視鏡検査を併用することで,患者本人の摂食意欲や介護者の摂食嚥下リハビリテーションに対する意欲が向上すると考えられた。