高齢者疑似体験実習は,高齢者の身体的変化を体験することにより心理的共感を惹起し,高齢者への援助を体験的に学ぶことができるといわれている。大阪歯科大学高齢者歯科学講座では,平成13年度より歯学基礎教育が終了後,病院臨床実習前のプレクリニックとして高齢者疑似体験実習を行ってきた。今回,実習後に提出させた自由回答文を自然言語解析手法を使ってテキストマイニングし,多変量解析することにより,実習実施者の違いならびに性差が高齢者疑似体験実習の学修効果に与えた影響について検討を行った。
分析データは,病院臨床実習前プレクリニックにおいて高齢者疑似体験実習を受講した大阪歯科大学歯学部4年生が,体験実習終了後に提出した253の自由回答文である。得られたデータをテキストマイニングソフトKH Coder 2.00 eを用いて分析を行った。共起分析を行った結果,高齢者疑似体験を行って得る身体的理解,および心理的理解への発展は,男女間ならびに実習実施者による差が認められた。
このことから高齢者疑似体験実習の学修効果を上げるには,男女間の差を勘案する必要があり,さらに体験項目の精査,ならびに教員の解説が重要であることが明らかとなった。