老年歯科医学
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調査報告
精神科病院における肺炎の発症についての検討
大藪 琢也渡邉 哲石橋 謙一郎山本 哲嗣宮地 斉
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2017 年 32 巻 3 号 p. 399-404

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抄録

 目的:精神科病院の入院患者の誤嚥性肺炎の実態を明らかにし,嚥下障害患者への対応の一助とする。

 対象:2005年から2015年に総合心療センターひながに入院していた患者7,286人。

 結果:65歳以上の入院患者は40%を超え,増加傾向にあった。全肺炎発症者数は延べ148例(男女比は2:1,65歳以上は75%)で,10年間の全肺炎の発症率は約2.0%であった。誤嚥性肺炎は41例(28%)であった。肺炎罹患数は73人(初発時平均年齢70±10歳)であり,複数回の発症数は31人(42%)に認めた。摂食嚥下障害患者への介入後は発症数の減少傾向を認めた。

 結論:肺炎と診断された多くは誤嚥性肺炎であると推測され,精神科病院入院患者でも誤嚥性肺炎は取り組むべき重要な課題であると考えられた。

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© 2017 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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