老年歯科医学
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原著
歯科医院受診高齢者の認知機能スクリーニング検査と口腔内状況との関連
奥森 直人小室 美樹江黒 徹溝口 尚宮田 幹郎栁澤 邦博早乙女 雅彦野村 智義竹島 明道木村 英一郎米山 俊之野本 秀材大橋 功簗瀬 武史
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2019 年 34 巻 3 号 p. 389-398

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抄録

 目的:本研究は,一般歯科医院に来院する65歳以上の高齢者に対し,認知機能スクリーニング検査を行い,軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment: MCI)の疑いのある者と認知機能低下者の割合を調査し,口腔内状況などとの関連を調べることが目的であった。

 方法:全国の15歯科医院を受診した高齢者のうち,同意を得られた者に調査した。認知機能スクリーニング検査は,Montreal Cognitive Assessment日本語版(MoCA-J)を用いた。

 結果:65~84歳の181人を検討対象とした。MCIの疑いのある者は65~74歳群で41.5%,75~84歳群で49.3%であった。認知機能低下者の割合は,65~74歳群で8.5%,75~84歳群で26.7%であった。加齢とともに増加(p<0.001)していた。認知機能低下者は,健常者と比べて現在歯数が少なく(p=0.009),「主観的口腔乾燥」が4.89倍,「口の中に痛みを感じたことがある」が3.19倍のオッズ比であった。しかし,健常者とMCIの疑いのある者では口腔内状況などの違いはなかった。

 結論:認知機能低下の早期発見には,年齢,現在歯数の減少,「主観的口腔乾燥」および「口の中に痛みを感じたことがある」などの要因が手がかりとなる可能性がある。

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© 2019 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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