老年歯科医学
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調査報告
医療従事者における口腔保湿剤の認知度ならびに指導実態のアンケート調査
元山 彩良村上 格西 恭宏西村 正宏
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2019 年 34 巻 3 号 p. 399-405

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抄録

 口腔保湿剤(保湿剤)は,患者みずからがスーパーマーケットやドラッグストアなどで購入し,使用している。しかし,医療従事者がこれらについてどの程度認知し,指導に関与しているかは不明である。本研究の目的は,医療従事者を対象とした保湿剤に関するアンケート調査を行い,その実態を把握することである。鹿児島大学病院に勤務する歯科医師,歯科衛生士,看護師を対象に,保湿剤に対する認知度,指導経験の有無や選択基準などに関するアンケート調査を行った。アンケートの回答を得られた165名を対象に分析を行った。内訳は歯科医師が102名,歯科衛生士が20名,看護師が43名であり,臨床経験年数は5年未満が60名,5年以上10年未満が39名,10年以上が66名であった。「保湿剤を知っているか」「保湿剤を勧めたことがあるか」「使用方法を指導したことがあるか」ならびに「保湿剤を変更したことがあるか」の回答結果は職種において有意差が認められた。「保湿剤を使用すべきと思った場面があるか」「保湿剤を勧めたことがあるか」「使用方法を指導したことがあるか」ならびに「保湿剤を変更したことがあるか」の回答結果は臨床経験年数において有意差が認められた。以上の結果より,職種と臨床経験年数の両者ともに有意差が認められたアンケート項目は,保湿剤を患者に効果的に使用してもらううえで重要な事項と考えられた。

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© 2019 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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