老年歯科医学
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調査報告
日本老年歯科医学会会員を対象とした病院歯科による医科入院患者への対応に関する質問紙調査
大野 友久岩佐 康行梅田 慈子金森 大輔貴島 真佐子阪口 英夫松尾 浩一郎元橋 靖友尾崎 研一郎水口 俊介
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2022 年 36 巻 4 号 p. 326-334

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抄録

 厚生労働省統計によれば医科入院患者の7割は高齢者である。病院歯科の医科入院患者への対応状況を把握するため質問紙調査を実施した。

 2021年1月18日~2月19日に病院歯科勤務の日本老年歯科医学会会員を対象とし,質問紙・Webフォームで調査を実施した。

 329名中182名(153施設)から回答を得た(回収率55.3%)。最も多い歯科業務を「外来患者対応」「医科入院患者対応」「摂食嚥下リハビリテーション」「口腔外科」「歯科訪問診療」で分けると「医科入院患者対応」(36.3%)が最多だった。全業務で「医科入院患者対応」に使う時間は約40%,学術活動は約10%であった。最も多い歯科業務で回答施設を分類し,多かった「外来患者対応」「医科入院患者対応」「口腔外科」で比較すると,歯科ユニット数は「医科入院患者対応」(2.96±2.43)が「外来患者対応」(5.16±4.97),「口腔外科」(6.30±3.70)より有意に少なく(p<0.001,p=0.042),常勤歯科医師数は「外来患者対応」(3.00±4.26),「医科入院患者対応」(2.22±2.70)が「口腔外科」(5.35±5.45)より有意に少なかった(各p<0.001)。歯科収益黒字と回答したのは「口腔外科」55.0%,「医科入院患者対応」47.7%であった。

 「医科入院患者対応」が主業務の病院歯科は多く,小規模で黒字になりやすい可能性がある。

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© 2022 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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