本調査報告では,2011年1月~2019年12月の間に当院が歯科訪問診療を施行した介護老人福祉施設(特養),介護老人保健施設(老健),病院,グループホーム(GH),有料老人ホーム(有料老人),サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の入所者・入院患者および居宅症例の概要を比較した。
同期間に当院が歯科訪問診療を施行した症例(初診患者数)は6,303例であり,特養1,742例(27.6%),老健1,082例(17.2%),病院1,484例(23.5%),GH 767例(12.2%),有料老人492例(7.8%),サ高住135例(2.1%),その他の施設114例(1.8%),居宅487例(7.7%)であった。90歳以上の超高齢者の比率は,特養(36.1%),老健(31.4%)およびGH(31.9%)では3割以上を占めていたが,病院(10.4%)および居宅(18.3%)では2割以下であった。歯科訪問診療を行うにいたった基礎疾患では,認知症の比率が特養(62.5%),GH(69.4%)および有料老人(62.0%)では6割以上を占めていたが,病院では20.4%と少数であった。歯周治療を施行した症例の比率はすべての施設および居宅で58.0~70.4%と最も高かった。摂食機能療法を施行した症例の比率は,特養では32.3%と,他の施設および居宅と比較して高かったが,病院(8.0%),サ高住(5.9%)では1割未満であった。
以上の結果から,歯科訪問診療における訪問先の施設や居宅の間で,年齢分布および,基礎疾患や歯科治療の内訳が異なることが認められた。