2023 年 38 巻 3 号 p. 95-101
緒言:今回,われわれは新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)による人工呼吸管理後の摂食嚥下障害により全量経管栄養管理となった患者に対し,多職種が連携して嚥下訓練を実施したことで全量経口栄養摂取可能となった症例を経験したので報告する。
症例:患者:66 歳,男性。現病歴:2021年1月にCOVID-19陽性となり,入院後,気管挿管管理となった。抜管後に耳鼻科医による嚥下評価にて,経口摂取開始は困難との診断の下,経皮内視鏡的胃瘻造設術が実施された。その後,とろみの濃さと食形態の調整により経口摂取可能と考えられたため,経口摂取を再開した。自宅退院後,担当ケアマネジャーから歯科訪問診療の依頼があり,歯科訪問診療を開始した。
経過:多職種が連携し,誤嚥性肺炎予防,声帯運動の改善,舌骨上筋群の筋力向上,歩行機能の改善のため,口腔衛生指導,呼吸・発声訓練,Chin tuck against resistance,歩行訓練を継続的に指導した。嚥下内視鏡検査にて嚥下状態を確認しながら,段階的に食形態の調整を続け,食形態は常食まで改善した。
考察:本症例では抜管後に生じる嚥下障害が認められたが,COVID-19感染拡大防止のためリハビリテーション開始が遅延し,さらに嚥下機能が低下したことが疑われた。多職種が連携し,複合的な嚥下訓練を継続したことから,常食の摂取が可能となったと考える。