老年歯科医学
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調査報告
新型コロナウイルス感染症流行下での臨床実習が歯学部学生の高齢者に対する意識の変化に与えた影響の検討
友岡 祥子水谷 慎介田渕 裕朗奥 菜央理井上 良介山添 淳一岩佐 康行柏﨑 晴彦
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2024 年 39 巻 3 号 p. 162-170

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抄録

 我が国は超高齢社会であり,歯科医師は高齢者に対する幅広い知識と患者に合わせた対応が求められており,臨床実習生も,高齢者歯科における外来臨床実習や歯科訪問診療実習を通して,高齢者とのかかわり方を学んでいる。現在,歯科臨床実習が臨床実習生に与える影響を調査した研究はほとんどなく,新型コロナウイルス感染症流行による外来臨床実習の中断などの影響に関する報告も少ない。そこで本研究では,2019年度から2021年度において歯学部臨床実習を受けた学生91名を対象に,実習前後における高齢者に対する意識および高齢者歯科医学における知識についての自己評価の変化を調査することを目的とした。調査には,高齢者に対する行動目標や到達目標の指標となる項目が示された,要求される能力に関する質問紙と高齢者に対する感情的な態度を測定する日本語版Koganʼs Scale of Attitudes Towards the Elderlyを用いた。対象学生はすべての実習修了時,みずからの能力の上昇に肯定的な評価を認めた(p<0.01)。高齢者に対する態度についても,肯定的に変化していた(p=0.012)。実習前後の各調査項目における変化量について,歯科訪問診療実習の経験の有無および外来臨床実習の中断期間別に比較したところ,群間に統計学的な有意差は認められなかった。本研究により,臨床実習を通じて,高齢者に対する態度や要求される能力に対する自己評価に変化が認められた。高齢者に対する意識および高齢者歯科医学における知識についての自己評価の変化を評価することは,高齢者歯科医学の学修効果の確認や,今後の教育内容を向上するための一助となる可能性があると思われる。

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© 2024 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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