目的:社会の高齢化に伴い医科歯科連携の重要性が評価され,健康保険には総合医療管理加算(総医)・歯科治療時医療管理料(医管)という項目がある。また,情報共有や提供のために,診療情報提供料Ⅰ(情Ⅰ)や診療情報連携共有料(情共)が設定されている。そこで,上記項目の保険算定実態を明らかにすることを目的にした。
方法:2023年6月の社会医療診療行為別統計から,診療所と病院ごとに,一般医療と後期高齢者医療(後期医療)に分けて,総医,医管,情Ⅰ,情共の件数を抽出し,1医療機関あたりの件数,患者一人あたりの算定率を算出した。
結果:1医療機関あたり,総医,医管は,病院が診療所の2倍程度の件数であったが,情Ⅰや情共では20倍以上であった。いずれも後期医療の割合が半数程度であったが,情Ⅰのみは20%前後であり,後期医療が少なかった。
算定率は,総医は1%以下,医管は5%以下であり,いずれも後期医療で多く,診療所と病院で大差はなかった。情Ⅰは,診療所では一般医療と後期医療で大差がなく1%以下であり,病院では高く,一般医療が多かった。情共は,後期医療や病院で多かったが,いずれも非常に少なかった。
考察および結論:総医,医管,情Ⅰ,情共の算定は少なく,医科歯科連携は不十分であることが明らかになった。この根本的な原因としては,医科への照会である情共の算定が特に少ないことであり,何らかの対策の必要性が示唆された。