老年歯科医学
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総説
高齢者における歯科心身症とその対応 ―特に舌痛症(口腔灼熱症候群)とドライマウス,義歯不適合症の対応について―
宇津宮 雅史松岡 紘史安彦 善裕
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2025 年 40 巻 1 号 p. 9-15

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抄録

 歯科心身症は,舌痛症(口腔灼熱症候群),非定型歯痛,ドライマウス,味覚異常,口臭症などの症状を含み,主に中高年女性に多い疾患である。心理社会的要因や精神医学的背景がその発現や増悪に関与することが多いとされる。高齢者に多い歯科心身症には,舌痛症,ドライマウス,義歯不適合症などがある。歯科心身症は,内科領域の「臨床的に説明困難な症状(MUS)」に類似しており,歯科医師による積極的な介入が重要である。著者らは,精神科的疾患の有無を判断するため「PIPCマニュアル」や心理テストを用い,適切な診断と治療を行っている。舌痛症においては,舌背部のカンジダ増殖が痛みの原因となる場合があり,抗真菌剤の使用を含む除外診断が重要である。心理療法では認知行動療法を導入し,破局的思考の改善を試みているほか,薬物療法では抗不安薬や抗うつ薬を活用し,8割程度の患者に症状の寛解がみられた。ドライマウスでは,唾液分泌量低下の有無にかかわらず,心理的・精神的要因の影響が大きいことが示されており,背景の評価が欠かせない。また,義歯不適合症では,不必要な咬合調整を避けるため,心理的背景の把握が求められる。今後ますます歯科心身症患者が増えてくるものと推測される。他の医療機関とも連携し,診療ガイドライン策定に向けたさらなる研究が必要である。

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