2025 年 4 巻 1 号 p. 12-25
目的:右視床出血症例に対し、バランス練習を含めた前庭リハビリテーションを実施し、バランス機能や浮動性めまいの改善を認めたため、ここに報告する。
症例:右視床出血を呈した70代男性。運動麻痺や体性感覚の低下は軽度であったが、立位保持時や歩行における方向転換時にふらつきを認め、日常生活活動で常に見守りを要した。
方法:バランス練習を含めた前庭リハビリテーションを1カ月間行った。
結果:自覚的視性垂直位、Head Impulse Test、Mini-Balance Evaluation Systems Test、10m歩行速度、Timed Up and Go Testが改善し、浮動性めまいは消失した。重心動揺計を用いたmodified Clinical Test of Sensory Interaction and Balanceでは閉眼条件における各パラメーターの改善を認めた。日常生活活動では歩行自立に至った。
結論:前庭機能低下を呈した右視床出血症例に対する前庭リハビリテーションはバランス機能の改善に有用である可能性が示唆された。