老年歯科医学
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Burning Mouth Syndrome (BMS) に関する臨床的研究
加齢による影響
各務 秀明重冨 俊雄林 常敏瀬古 和秀牧 かおり大野 雄弘上田 実
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1995 年 10 巻 2 号 p. 113-119

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抄録
Burning mouth syndromeは, 口腔内の持続的なひりひり感ないし痛みを訴えるが, 器質的変化を認めない疾患である。更年期以降の女性に多いことから, 更年期障害あるいは加齢変化との関わりが指摘されているが, この点についての詳細な研究は少ない。今回われわれは, 名古屋大学医学部附属病院歯科口腔外科においてburning mouthsyndromeと診断された患者49名のうち女性40名に対し, 全身合併疾患, 内服薬, アレルギーの既往, 疼痛部位, 血液学的異常, 安静時全唾液量, 心理テストによる心理面の評価, タイプ分類, 治療成績を評価し, 加齢の影響について検討した。患者を更年期と考えられる42-56歳, 老年期として65歳以上, そしてその間の年齢として57-64歳の3群に分け比較検討を行ったところ, 更年期および老年期の患者にそれぞれ特徴的な所見が認められた。更年期のburning mouth syndrome患者は一般に合併疾患や投薬が少なく, 唾液分泌量も正常で, 高コレステロール血症を除けば臨床検査上の異常もわずかであった。また。CMIによる心理面の評価でも多くがIないしII領域であった。一方65歳以上の老年期患者では, 合併疾患や投薬の増加, 唾液分泌量の減少, CMIによる心理的問題点など種々の肉体的, 精神的問題をかかえており, それらの要因とburning mouth syndromeの発症との間に深い関連が推測された。
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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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