抄録
高齢歯科患者の外来受診時の血圧, 脈拍における白衣効果を知る目的で診療室入室30分前から入室10分後まで5分毎に血圧, 脈拍の変動を測定し検討を行った。
その結果, 入室によって収縮期血圧および脈拍数は有意に上昇を示した (p<0.01) 。その上昇量は個人差が大きく, 10mmHg以上上昇を示した白衣効果陽性症例は46.5%に認あられた。高血圧症の既往のあるものは既往のないものに比較して収縮期血圧の白衣効果を示す頻度が高かった (p<0.05) 。また, 加齢と共に白衣効果陽性の頻度が増加した (p<0.01) 。しかし, 性差, 当日の診療内容は白衣効果の発生頻度に影響を与えなかった。また, 来院回数および安静時の収縮期血圧と入室時上昇量との間に相関は認められなかった。一方, 来院時の血圧と入室時血圧の間には強い正の相関が認められ (r=0.64, P<0.01), 来院時の血圧の高い症例は安静によって血圧が低下を示してもストレスによって再び上昇する可能性が示唆された。