老年歯科医学
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永久歯現在歯のコウホート分析, 歯科疾患実態調査資料を用いて
那須 郁夫中村 隆森本 基
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1996 年 11 巻 2 号 p. 88-99

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抄録

厚生省歯科疾患実態調査は, 昭和32年から6年おきに平成5年まで7回実施され我々に貴重な情報を提供してくれている.この7回分の調査資料を用いて, 現在歯数のコウホート分析を行なった.
この分析により, 歯種別現在歯数の時代効果, 年齢効果, コウホート効果のパラメータの推定値を得た.その結果, 年齢効果は三つの効果のうちでも最も変化幅が大きく, 現在歯数は年齢に最も大きく依存していた.萌出完了後, 直線的に現在歯数は減少していたが, 40歳までで歯種による爾蝕の罹り易さ (にくさ) により, 現在歯数に影響が出ることが分かった.時代効果では, ほとんどの歯種において, 昭和50年を境にその後の現在歯数の増加傾向が認められた.コウホート効果では, 世代による差が認められ, 明治・大正生れで少なく, 昭和生れで増加していた.これらは, 医療の需給関係や, 世代による鶴蝕の多寡, 重症度の差にも関係すると考えた.

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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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