老年歯科医学
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在宅寝たきり老人の口腔ケアに関する研究
第3報保健婦の口腔清掃の知識と指導能力
下山 和弘岡田 弥生内田 達郎石川 直人小林 章二長尾 正憲森 智恵子
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1996 年 11 巻 2 号 p. 100-110

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抄録
在宅ケアでの歯科保健の充実を図るためには、歯科保健に対する保健婦の意識および行動を明らかにすることが有効であると考え, 東京都および埼玉県で勤務する保健婦を対象に在宅ケアに関連する事項を中心に歯科保健に関するアンケート調査を行った。有効回答者は155名であった。
在宅寝たきり老人の「義歯および歯は清潔に保たれていない」とした者の割合は義歯については94.8%, 歯にっいては97.4%であった。義歯の清掃にブラシおよび義歯洗浄剤の必要性を認めていた者の割合はそれぞれ94.8%, 40.0%であった。歯の清掃に歯ブラシの必要性を認あていた者の割合は97.4%であった。義歯の清掃方法に関する指導ができないと思う者の割合は70.3%、義歯洗浄剤にっいての指導ができないと思う者の割合は79.4%であった。歯の清掃方法に関する指導ができないと思う者の割合は73.5%, 歯間ブラシにっいての指導ができないと思う者の割合は78.1%であった。成人や在宅寝たきり老人を対象とした口腔清掃の教育・指導を受けた経験のある者では、経験のない者よりも義歯と歯の清掃に関する指導が可能とする者の割合が高かった。しかし, 教育・指導を受けた経験のある者でも指導が可能とする者の割合は必ずしも高くないため, 教育・指導の方法を考える必要があろう。歯科保健に関する教育, 指導が必要とされており, 保健婦と歯科医師, 歯科衛生士との連携が口腔領域の在宅ケアの質の向上に繋がると考える
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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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