抄録
Burning Mouth Syndrome (BMS) は更年期以降の女性に多いことが知られているが, 本研究では特に加齢変化との関連にっいて検討を行った。
対象は, 名古屋大学医学部附属病院歯科口腔外科においてBMSと診断された患者のうち, 必要事項の検索が可能であった女性64名である。
患者を更年期以前 (42歳未満), 更年期 (42~56歳), 移行期 (57~64歳), 老年期 (65歳以上) の各年代に分類し, 合併疾患数, 服用薬物数, BMSの発症要因と考えられる項目の頻度, および治療効果について調べたところ, 以下の結果が得られた。
1. 老年期BMS患者では, 合併疾患数, 服用薬物数が多く, また不安や抑うっなどの心身医学的要因, 癌恐怖, 口腔乾燥症, 歯科的要因など, BMSと関連する問題点が高頻度に認あられた。
2. 一方更年期BMSの患者ではBMSと関連する要因の出現頻度は少なく, 逆に明らかな原因が特定できない患者が多数を占めた。
3. 老年期のBMSは, 種々の原因が積み重なって発症する複合型と考えられたが, 個々の患者における発症要因を明確にし, 適切な治療法の選択を行うことで, 治療の効率化が可能となった。