抄録
東京都板橋ナーシングホームの入所者は脳血管障害, 老年性痴呆などにより精神的身体的機能が低下していることから口腔ケアが困難な症例が多い。このような入所者に対しての口腔ケアは, 嚥下性肺炎予防の上からも重要である。
今回, 著者らは, これらの要介護者のために, 一般の介助者でも簡易かつ安全に口腔内細菌を減少させ得る適切な方法を確立することを目的にINHブラシ (給水吸引機能付き電動ブラシ) を試作した。その後, 給水の安定性や吸引異常時の安全対策を施した「デント・エラック給吸ブラシ910」 (ライオン歯科材 (株) 製) を開発した。そこで, 本装置が本来の目的に十分に有効であるかを知るたあに, まず歯科衛生士により多数の残存歯がある高齢者に対して, 口腔清掃を2ヵ月間, 継続的に行い, 1ヵ月毎にOHI (DI) ・O'Learyのプラークスコア・画像解析を用いた口腔清掃状態の評価 (IAI) を中心に行った。
その結果, DIおよびIAIでは, プラーク量がケアの継続とともに徐々に減少し, 給吸ブラシの活用は要介護者の口腔ケアに有効であることが示唆された。また, これらの操作を通じて, 使用中に被験者が誤嚥することがなく, 安全であることが明らかになった。