抄録
最近開発された増粘剤スルーソフトリキッド® (キッセイ薬品) を基材 (蒸留水および硫酸バリウム混濁液) と混和しその粘度を検討した。さらに, スルーソフトリキッド®と硫酸バリウム混濁液によって嚥下造影検査食を試作しその有川性を検討した。その結果, スルーソフトリキッド®は基材に混和することによって速やかに粘度を得ることができその後, きわめて安定していた。また, 水との混和比に従いほぼ比例して粘度が得られた。スルーソフトリキッド®の添加量や基材の温度を変化させても粘度は安定していた。さらに, 冷蔵 (4℃), 冷凍 (-4℃) にて保管しても粘度は変化せず保存性に優れていた。スルーソフトリキッド®と硫酸バリウム混濁液による嚥下造影検査食は良好な造影性を示し, スルーソフトリキッド®と硫酸バリウム混濁液との混和比に従いほぼ比例して粘度が得られた。試作した嚥下造影検査食はさまざまな粘度を与えることができ, 嚥下動態の把握や嚥下食から移行食への変更の際の検査食としての可能性が示された。