老年歯科医学
Online ISSN : 1884-7323
Print ISSN : 0914-3866
ISSN-L : 0914-3866
14 巻, 3 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 稲葉 繁
    2000 年14 巻3 号 p. 245
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • Janet A. Yellowitz
    2000 年14 巻3 号 p. 247-252
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • ミシガン州の場合
    阿部 まり子
    2000 年14 巻3 号 p. 253-260
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
  • 高山 義明, 濱上 弘晴, 山本 俊雄, 河村 秀生, 大曽根 正史
    2000 年14 巻3 号 p. 261-264
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 第1報老人保健施設入所高齢者における口腔微生物叢について
    上野 尚雄, 鄭 漢忠, 大類 晋, 中河 律子, 八角 直, 泉山 ゆり, 戸塚 靖則
    2000 年14 巻3 号 p. 265-269
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    今回, われわれは口腔細菌叢と, 全身の状態, あるいは口腔の健康状態との関連性を明らかにする為に, 札幌の老人保健施設入所高齢者89名の口腔細菌叢を調査した。
    対象は男性23名, 女性66名, 平均年齢81.3歳であった。被検者の舌背部を左右1回ずつ擦過し検体を採取した。検体を培養し, 生育したコロニー数をカウントして菌数を算定した。調査菌種は, 好気性・通性嫌気性の全菌数, レンサ球菌数, カンジダ数, ブドウ球菌数, ならびにブドウ球菌中の黄色ブドウ球菌数とした。これらの調査結果と, 対象の年齢, 性別, BMI, ADL, 口腔乾燥の有無, 残存歯数, 義歯の有無との関連について検討した。
    その結果, カンジダの陽性率は義歯使用群では62/78 (79.5%) であり, 義歯非使用群 (4/11, 36.4%) と比較して有意 (p<0.05) に高いことが認められた。一方, 菌数・陽性率と, 年齢, BMI, ADL, 口腔乾燥の有無および残存歯数との間には有意な関連は認められなかった。
  • 戸原 玄, 下山 和弘, 宮下 健吾, 植松 宏
    2000 年14 巻3 号 p. 270-274
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    日本における人口の高齢化はきわめて急速で, 歯科を受診する高齢者の数も増加している。高齢者に歯科治療を行う際には高齢者に特有の問題を理解し配慮する必要がある。そこで我々は, 年をとるということを実感として捉えてもらうために学生実習において高齢疑似体験学習を行った。調査対象は東京医科歯科大学歯学部高齢者歯科学講座の行っている授業に出席した歯学部4年生64名 (男性35名, 女性29名) である。実習は高齢疑似体験役・介護者役の2人1組で行った。高齢疑似体験役は「白内障メガネ」, 「重り」などを装着し, 「文字を読む」, 「階段昇降」等の課題を行い, 事後にアンケートを行った。高齢疑似体験役の学生の感想は不自由という意見が多く, このうち半数以上が「予想以上」に不自由であったとしていた。イメージを変えることが体験学習の目的であるため, 実習後のアンケート結果から高齢者を理解する体験学習において充分な成果が認められたといえる。介護役の感想には階段昇降が困難そう, また手先が不自由そうという意見が多かった。今回の実習は専門教育が始まったばかりの学生に対して行われたものであるが, 高齢患者を理解する一助となるものと思われた。
  • 電話によるインタビュー調査
    坪井 徹洋, 各務 秀明, 大野 雄弘, 重冨 俊雄, 上田 実
    2000 年14 巻3 号 p. 275-279
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    舌痛症患者の長期経過については報告が少なく, 治療の終了や経過観察の必要性を判断する資料が不足しているのが現状である。今回われわれは電話によるインタビューにより, 舌痛症患者の長期経過につき検討を行った。インタビューは1999年6月に実施し, 1988年 (昭和63年) から1992年 (平成4年) までに名占屋大学医学部附属病院歯科口腔外科を受診し, 舌痛症と診断を受けた患者177名を対象とした。対象のうち転居および死亡を除く148名 (うち男性28名, 女性120名) 全員から回答が得られた。治療後の長期経過について, 治療成績, 性別および治療時の年齢と長期経過との関係を中心に検討を行った。治療終了時までに完治した症例は10%であったが, その全員がインタビュー時にも無症状であった。治療終了後に改善した患者は68%であったが, その71%が長期経過中に治癒し, 治療時変化なしの群22%においてもその29%に長期経過中の治癒を認め, 29%に改善が見られた。女性と比べ男性の長期経過は良好であり, 女性では54歳以前と比べ55歳以上の群で長期経過がやや悪い傾向であった。舌痛症の長期経過においては, 多くの症例で経過観察中の治癒ないし改善がみられることが明らかとなった。
  • 越野 寿, 高田 英俊, 平井 敏博, 石島 勉
    2000 年14 巻3 号 p. 280-286
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    高齢者にとって, 心身が虚弱な状態であっても質の高い生活を送るためには, なるべく自立した生活を確保し, 自らの持てる力を回復, 維持することが重要であるとされており, 咀嚼や発語をはじめとする顎口腔系機能の維持・管理はこの指摘の基本的因子であると考えられる。しかしながら, 老人病の特徴として, 多病性とホメオスタシスの破綻が挙げられているとおり, 義歯補綴診療時に全身的偶発症が発生する可能性があることはいうまでもない。
    本学歯学部附属病院は訪問歯科診療を実施しているが, 今回, 平成8年4月から平成11年3月までに診療を行ったケースを対象として, 診療内容, 診療場所, 処置回数, ならびに患者の有する主たる基礎疾患を分析し, 訪問歯科診療における問題点や改善点などについて検討した。さらに, 診療中の呼吸・循環動態の変動に関する検討を加えた。
    処置内容としては, 歯の欠損に伴う有床義歯補綴治療に関する処置が全体の約83%を占め, その内訳は, 義歯の修理およびリライニングが49%, 残りの34%が新義歯製作であった。
    循環動態に関して, 義歯による疼痛を有する患者に対しての義歯調整時に, 収縮期血圧およびRPP値の有意な増加が認められた。この結果は, 在宅要介護患者に対する義歯補綴治療を行う際には, 適正な診査・診断・治療計画の立案とともに, 可能な限りのバイタルサインのチェックとモニタリングを行うことの重要性を示唆していると考えられる。
  • 咀嚼能力とMDS/RAPsとの関連
    池田 和博, 平井 敏博, 川上 智史, 越野 寿, 石島 勉, 吉丸 裕子
    2000 年14 巻3 号 p. 287-296
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    近年, 顎口腔系機能と全身の機能との関連, 特に, 咀嚼機能と脳機能との関連が注目されている。また, 高齢者においては, 咬合・咀嚼が全身の健康保持や寝たきりおよび痴呆の予防などのために重要な役割を果たしていることが示唆されている。
    本研究では, 老人病院に入院中の36名 (男性9名, 女性27名, 平均年齢82±8.3歳, 全部床義歯装着者26名, 部分床義歯装着者10名) の要介護高齢者における咀嚼機能と痴呆および自立度との関連について調査を行ったところ以下の結果を得た。
    使用中の義歯の適否を表わす「義歯スコア」と「痴呆スコア」との間には, 統計学的に有意な相関が認められた (p<0.01) 。なお, 「義歯スコア」を「不良」と「良好」の2群に分けた場合, 「義歯スコア不良群」では75%の対象者が痴呆と判定されたのに対し, 「義歯スコア良好群」においては, 45%と有意に減少していた (p<0.05) 。
    「義歯スコア」と「自立度スコア」の間には統計学的に有意な相関が認められた (p<0.01) 。なお, 「義歯スコア良好群」においては, 「不良群」に比して, 「準寝たきり者」の割合が有意に増加していた (p<0.05) 。
    「義歯スコア」と「MDS/RAPs」においては, 「義歯スコア不良群」では, 「痴呆状態・認知障害の検討」, 「望ましい人間関係 (心理社会的充足) の検討」, 「気分と落ち込みの検討」, 「口腔ケアの検討」, 「じょく創の兆候」の問題領域を選定された者が多かった。
    以上の結果から, 要介護高齢者における咀嚼機能と痴呆および自立度との間には, 密接な関連があることが示唆された。
  • 第1報施設入居者と自宅生活者の比較
    譽田 英喜, 武藤 隆嗣, 前田 伸子, 松本 亀治, 森戸 光彦
    2000 年14 巻3 号 p. 297-306
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    常在微生物叢と宿主の均衡関係が破綻すると, 通常は無害であるはずの常在微生物が日和見感染発症の原因になることがある。加齢はこの均衡関係を崩す要因の1つと考えられている。本研究は特別養護老人ホームに入居している高齢者 (施設群) を対象に口腔常在微生物叢の検索を行い, 自宅で生活を営んでいる高齢者 (自宅群) と比較検討した。
    施設群として3施設 (111名), 自宅群として2群 (72名) を対象とした。口腔診査後, 唾液量, 唾液緩衝能, 唾液中のmutans streptococciとlactobacilliの菌数, 舌表面のCandidaとstaphylococciの菌数, メチルメルカプタン (CH3SH) 産生量を測定した。
    唾液量, lactobacilliの菌数, CH3SH産生量は両群間で顕著な差が見られなかったが, 緩衝能は施設群の方が自宅群よりも低い傾向が, またCandidaとstaphylococciの菌数は施設群の方が自宅群よりも有意に多かった。
    さらに施設群の一部に口腔衛生指導を行い, その効果を検討した結果, 唾液量, mutans streptococciの菌数, CH3SH産生量は指導後に改善したが, Candidaの菌数はほぼ同値であった。
    以上のことから, 施設群の高齢者では日和見感染症の病原体であるCandidaやstaphylococciが多いことが示唆された。また, 今回試みた口腔衛生指導ではCandidaを減少させることは困難であることが示唆された。
  • 大渡 凡人, 市川 賢一, 植松 宏
    2000 年14 巻3 号 p. 307-310
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    歯冠補綴物を気管内に落下させたが咳漱反射などの症状がなく, 食道異物として対応しかけた後期高齢者の1症例を経験した。
    患者は89歳の男性で, 試適中に誤って歯冠補綴物を咽頭部に落下させた。気管支異物を疑わせるような咳漱反射がなく, その発生頻度からも食道異物を強く疑った。胸腹部レントゲンでは異物陰影は胃よりも上部にあり左方に偏位していた。高齢者では食道が偏位していることが多いので食道異物であろうと歯科放射線科医からコメントがあった。しかしながら, 胃に落下するのに十分な時間が経過していたことと, 偏位が大きすぎるという疑問が否定できなかったため, 食道造影下に再度撮影を依頼した。その結果, 気管支異物であることが判明した。ただちに呼吸器内科に搬送し, 気管支ファイバースコープによる摘出を行った。
    高齢者は小児と並んで気管支異物が発生しやすい年齢層であるが, 本症例のように典型的な症状が認められないことが多い。高齢者の異物事故ではこのことを十分に考慮し, 気管支異物を見逃さないように慎重に対応する必要がある。
  • 菊谷 武, 山田 晴子, 稲葉 繁, 柴田 聡彦, 鈴木 宗一, 吉田 貴晃
    2000 年14 巻3 号 p. 311-317
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    最近開発された増粘剤スルーソフトリキッド® (キッセイ薬品) を基材 (蒸留水および硫酸バリウム混濁液) と混和しその粘度を検討した。さらに, スルーソフトリキッド®と硫酸バリウム混濁液によって嚥下造影検査食を試作しその有川性を検討した。その結果, スルーソフトリキッド®は基材に混和することによって速やかに粘度を得ることができその後, きわめて安定していた。また, 水との混和比に従いほぼ比例して粘度が得られた。スルーソフトリキッド®の添加量や基材の温度を変化させても粘度は安定していた。さらに, 冷蔵 (4℃), 冷凍 (-4℃) にて保管しても粘度は変化せず保存性に優れていた。スルーソフトリキッド®と硫酸バリウム混濁液による嚥下造影検査食は良好な造影性を示し, スルーソフトリキッド®と硫酸バリウム混濁液との混和比に従いほぼ比例して粘度が得られた。試作した嚥下造影検査食はさまざまな粘度を与えることができ, 嚥下動態の把握や嚥下食から移行食への変更の際の検査食としての可能性が示された。
  • 猪田 博文, 山本 学
    2000 年14 巻3 号 p. 318-321
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
  • 第1報外来通院高齢者について
    角 保徳, 三浦 宏子, 永長 周一郎, 上田 実
    2000 年14 巻3 号 p. 322-326
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    介護保険の導入を踏まえ, 地域で社会生活を営み病院に通院している有病高齢者の口腔の状態やニーズを把握することは重要である。本研究では, 高齢社会における歯科医療の役割を認識するための具体的な資料を提供することを目的に, 通院高齢者の口腔内調査を行った。
    対象は, 国立療養所中部病院歯科の外来初診患者のうち65歳以上の高齢者119名 (平均年齢74.8±6.2歳) である。評価項目は, 性別, 年齢, 患者の主訴, 基礎疾患, ADL, 食事の性状, 咀嚼状況, 口腔衛生状態等をレントゲン, 口腔内診査等にて評価した。その結果以下のことが判明した。
    1. 主訴は, 義歯不適合が一番多く39%を占めた。また, 処置内容は, 義歯作成が35%と最も多かった。一方, 抜歯を含めた観血処置は24%であった。
    2. 対象患者の有病率は82%であった。日常生活動作について, 生活自立者が66%であったが, 準寝たきり以上の高齢者は23%認められた。
    3. 移動能力については, 観察誘導を含め介助を必要とする者が3分の1程度認められた。移動手段としてなんらかの補助が必要な患者は34%であった。
    4. 食事については要介護患者が1割であった。食事内容としては普通食75%であり, 高齢者の4人に1人が軟らかい食事を摂取していた。
    5. 口腔ケアの自立度では, 約1割の高齢者が介護を必要とする状態であった。
  • 田邊 晶子, 玄 景華, 安田 順一, 岩田 浩司, 大山 吉徳, 川橋 ノゾミ, 金澤 篤
    2000 年14 巻3 号 p. 327-336
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    急速な高齢社会を迎える我が国では平成12年度より介護保険法が施行される。今回の調査において介護認定度による口腔内状況や口腔ケアの問題点について検討した。
    対象者は岐阜県大垣市に立地する特別養護老人ホームの入所者93人で, 平均年齢81.7歳であった。要介護状態区分は自立4人, 要支援2人, 要介護Iが5人, IIが24人, IIIが19人, IVが26人, Vが13人で, 寝たきり度はAランクが最も多く57人で, Bランクが15人, Cランクが14人であった。有歯顎者は64人, 無歯顎者は29人であった。無歯顎者を除いた1人平均残存歯数は11.3本, 1人平均う歯数は6.2本であった。残存歯数に対するう歯数の割合は, 要介護度に伴い増加傾向を示した。歯口清掃状態は要介護度に伴い不良になり, 有歯顎者の歯磨き介助は要介護度に伴い介助者が行う割合が増加した。有歯顎者64人中, 有義歯者は24人, 無義歯者は40人であった。無義歯者のうち咬合が崩壊している者は33人と8割を越えていた。有義歯者はほとんどの人が義歯を使用していたが, 義歯清掃は要介護度に伴い介助者が行う割合が多かった。
    以上より, 入所高齢者の口腔内状態は良好でなく, 訪問歯科診療が必要である。さらに要介護度に伴い歯磨きや義歯清掃の介助の必要性が増加するため, 施設職員を含めた口腔ケアのプログラム作成や口腔保健に関する啓蒙活動などの介護保険上の取り組みが重要である。
  • 第1報松山市における訪問歯科診療の実態と在宅要介護者のQOLに及ぼす影響について
    増田 靜佳, 内海 俊明, 増田 敬二
    2000 年14 巻3 号 p. 337-344
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    訪問歯科診療が, 在宅要介護者の口腔機能の回復およびQOLの向Lに実際に役立っているかどうか, 過去3年間に訪問診療を行った患者を対象にアンケート調査を行った。また訪問診療の実態や, 初診時における患者口腔内の状態についても調べ, 検討を加えた。
    対象は, 平成6年~8年にかけて訪問診療を行った患者で, 調査段階で死亡, 入院または施設に入所した患者は対象外とした。
    方法は, 対象とした患者98名に質問票を郵送し, 回答が得られた56名のものを採用した。また, 訪問診療の実態や初診時の口腔内の状態については, 訪問診療調査票と診療記録より情報を得た。
    その結果, 患者の年齢は70歳代および80歳代が多く, 麻痺・高血圧等, 診療に際してなんらかの問題点を持つ者が多かった。主訴および処置の内容では, 義歯に関係するものが大多数を占めていた。口腔内の状態は, 機能歯数0本の患者が最も多かった。また, 有歯顎の患者においては大多数が残根歯を保有し, さらに要治療歯の保有率も過半数を超え, 本来処置すべき歯牙が放置されていた。
    アンケートの回答結果からは, 特に食事に関係するQOLの向上に役立っていると思われた。また, 「食事介助が楽になった。」「口腔内の衛生状態がよくなった。」と答えた介護者及び患者も多く, 介護者の負担の軽減や老人性肺炎の予防といった点からも, 訪問歯科診療の果たす役割は非常に重要であると考えられた。
  • 第2報咀嚼・介護・口腔衛生と歯数について
    増田 靜佳, 内海 俊明, 増田 敬二
    2000 年14 巻3 号 p. 345-357
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    訪問歯科診療が在宅要介護者のQOLに及ぼす影響について, 特に咀嚼・介護・口腔衛生の3点について調査し, また歯数との関係についても検討を加えた。対象は, 平成8年~10年にかけて訪問診療を行った患者268名中50名で, 方法は, 咀嚼・介護・口腔衛生の3点に関する質問について, 歯科医師による直接の聞き取り調査を行った。なお, 歯数は診療記録より調査した。その結果, 以下の結論を得た。
    1. 咀嚼では, 訪問歯科診療が患者食生活の質の面上に面く貢献していることが再確認された。
    2. 介護では, 訪問歯科診療による咀嚼能力の向上が, 介護者の献立や調理法の工夫といった手問の軽減や, 介護者が食事時間自体に捕われていたことからの開放に繋がり, その結果介護者の仕事量の軽減になると考えられた。
    3. 口腔衛生では, 口臭の減少や歯肉の出血・腫れ・痛みにも改善がみられた。しかしながら, 歯磨き回数は一日1回が多く, 初診時と人きな変化はなかった。したがって, 日腔衛生指導によるブラッシング方法の面上が効果を上げていると思われた。
    4. 各質問事項について歯数別に比較した。咀嚼機能の回復および介護者の仕事吊の軽減には, 機能歯数1~5本が最も改謝頃面が面かった。口腔衛生においては, 現在歯数が多くなるほど指導・管理が難しくなる傾面がみられたことから, 多数の歯牙を保有している患者には, より一層の注意が必要と思われた。
  • 奥 寿良, 岡 隆一, 木田 保男, 東澤 佐登史, 藤原 秀樹, 久保 隆夫, 金上 喬昭, 谷 哲, 前田 光宣
    2000 年14 巻3 号 p. 358-364
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    箕面市歯科医師会では, 箕面市の訪問看護事業の一貫として平成2年度より在宅歯科診療事業を開始, 延べ364人の依頼者があった。スタート時は, 年間15人であった依頼者もここ数年では50人前後を数えるまでに至った。毎年, 75歳から85歳までの依頼が多いが90歳以上の依頼も増加しつつある。また, 有病患者, 寝たきりの患者によっては治療が困難を窮め, そのために再度依頼する患者も多く数え, 依頼件数の半数が再度依頼のあった年もみられた。
    在宅歯科診療事業では, 患者に早期に治療が施せるよう考案した箕面方式を実施してきた。これは, 依頼者から行政の担当部に在宅歯科診療依頼の申し込みがあると, ただちに在宅委員会委員長に連絡が人り, かかりつけ歯科医の有無依頼者の希望, 地域などの点から考慮して, 在宅歯科診療登録医の中から担当医を選定する。担当登録医は, 家庭訪問調査を行い, 診療が可能な場合そのまま診療に入る。その結果依頼申し込みから家庭訪問調査までの期間, 調査から診療開始までの期間, さらには依頼から診療開始までの平均日数はそれぞれ5.1日, 3.2日, 8.3日であった。
    今後も, 迅速に在宅歯科診療に対応するとともに, より安全に寝たきり菖齢者の治療に従事できる環境の整備と口腔衛生の向上に務める必要があると考える。
  • 菊谷 武
    2000 年14 巻3 号 p. 365-367
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
feedback
Top