老年歯科医学
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脳血管障害患者に対する口腔機能リハビリテーションの介入時期別にみた口腔機能変化の評価
角町 正勝本多 啓子
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2005 年 20 巻 3 号 p. 169-179

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抄録

急性期・回復期・維持期の脳血管患者における, 口腔機能リハビリテーションの効果を評価するため, 平成7年より平成15年までにT歯科医院が訪問歯科診療を行った高齢患者549名の特性を分析するとともに, そのうち脳血管障害患者153名について, 介入の時期別に口腔機能の障害程度の評価を行った。
発症から1カ月未満の急性期に口腔機能リハビリテーションを開始した群では, 「開口度」「咀嚼」「舌運動」「口腔周囲筋」「言語明瞭度」「発声機能」など, 直接的な機能評価項目について有意な変化がみられた。一方, 障害の発生から時間が経過した維持期から口腔機能リハビリテーションを実施した群では, 「食物残渣・舌苔・流涎」などの間接的な機能評価項目について有意な向上がみられたが, 直接的な機能評価項目には顕著な差は示されなかった。
研究の結果から, 脳卒中患者の口腔機能の回復と向上をはかる上で, 早期の口腔機能への働きかけの重要性が示唆された。

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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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