老年歯科医学
Online ISSN : 1884-7323
Print ISSN : 0914-3866
ISSN-L : 0914-3866
口腔機能訓練と食支援が高齢者の栄養改善に与える効果
菊谷 武米山 武義手嶋 登志子堀内 ふき宮武 光吉足立 三枝子石田 光広西脇 恵子田中 甲子
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 20 巻 3 号 p. 208-213

詳細
抄録

本研究では口腔機能訓練と食支援が高齢者の栄養改善に与える効果について検討した。対象は某介護老人保健施設に入居する血清アルブミン (alb) が40mg/dl以下の者51名とした。作成したメニューに従い, I群 (27名: 平均年齢82.7±6.7歳) には食支援の介入のみを行い, II群 (24名: 平均年齢82.4±7.6歳) にはこれに加えて口腔機能訓練の介入を行った。2ヵ月後において, 口腔機能および栄養学的評価を行った。
得られた結果を以下に示す。
1. I群はalbが平均3.7±0.2g/dlから3.9±0.3g/dlへ, プレアルブミン (preALB) が, 18.2±4.7mg/dlから20.5±5.5mg/dlに, II群はALBが3.7±0.3g/dlから4.1±0.3g/dlに, preALBが, 19.3±4.3mg/dlから23.0±5.8mg/dlへ共に有意に上昇した (I群: p<0: 01, II群: p<0.001) 。
2. I群において介入によりalbが0.1±0-2g/dl上昇したのに対し, II群においては0.3±0.3g/dlの上昇であり, 2群問に有意差が認められた (p<0.05) 。
3. 舌圧測定による口腔機能について明らかな変化は認められなかった。
以上より, 食支援および口腔機能訓練はともに栄養改善に有効であることが示され, これらのかかわりが介護の重症化を予防する可能性が示唆された。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top