老年歯科医学
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総義歯を装着している高齢者に対する口腔ケアの効果
茶カテキンとポビドンヨードによるケア介入の比較
杉山 明日香品田 佳世子千葉 由美
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2005 年 20 巻 3 号 p. 214-221

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抄録

高齢者の口腔ケアは誤嚥性肺炎やQOL低下を防止するのに重要である。一般的に臨床で使用されているイソジンガーグル®は味や臭いからケアを受ける人が不快に感じることがあるといわれている。近年, 茶カテキンの抗菌作用が報告されているが, これを含む液を用い, カンジダ, 口臭, 舌苔および主観的評価などの効果をイソジンガーグル®と比較した。臨床において手軽に利用でき保清効果があり, ケアを受ける人が爽快さや満足感を得られるような洗浄液として, 茶カテキン液を用いられるかについて検討した。
対象は特別養護老人ホームに入所中の要介護高齢者12名 (平均年齢85.5±8.5歳, 男女比1: 3) である。結果, 以下のことが示された。
1) 口臭について, カテキン群とイソジンガーグル群で差はみられなかった。ただし, 両群とも口腔ケア実施前より2週日に減少していた。
2) 舌苔はカテキン群で有意に減少した。
3) カンジダは, 両群とも, 義歯および舌背にて, 有意な減少がみられた。
4) 爽快感は初日に比べ2週間後ではカテキン群で, 爽快感の回答割合が有意に高くなっていた。
5) フェイス・スケールは両群ともに初日に比べ2週間後では改善傾向が見られた。
以上のことから, 口腔内の清掃に茶カテキン液を用いることにより, 爽快感が得られ, 保清効果が期待できることが示唆された。

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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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