老年歯科医学
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口腔機能訓練を行った要介護者の口腔にかかわる諸症状の変化
聞き取り調査の結果より
田村 文誉菊谷 武須田 牧夫青木 美好子清水 夏子丸山 みどり
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2005 年 20 巻 3 号 p. 222-226

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抄録

要介護者においては, 介護予防を目的とした口腔機能向上トレーニングが重要であると考えられる。そこで我々は, 要介護高齢者に対し集団的口腔機能訓練による口腔機能向上の取り組みを行い, その効果について対象者自身が自覚した変化を検討することを目的として調査を行った。
対象は, 都内某老人通所介護施設1箇所を利用中で, 口腔機能向上を目的とした介護予防プログラムの介入を行った高齢者26名 (男性15名, 女性11名, 平均年齢79.2±7 .8歳) および施設の介護職員16名 (男性7名, 女性9名, 平均年齢31 .6±8.6歳) である。対象高齢者に対し, プログラムの介入前後に口腔の諸症状に関する「聞き取り調査」を行い, その変化について検討した。
その結果, 「口の渇き」「口臭」「飲み込みにくさ」「発音」等, 口腔に関する自覚症状においては介入により改善が認められる傾向であったが, 口腔ケアの行動変容の調査項目である「口腔清掃」に関する項目では変化がみられなかった。
本研究の結果, 要介護高齢者に対する歯科衛生士の取り組みにより, 対象者は口腔機能訓練を中心とする口腔ケアへの積極性が増し, 諸症状の改善につながったことから, 口腔機能向上による介護予防の可能性が示唆された。

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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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