ドライマウスにおける加齢の関与を検討するため, 2002年11月から2007年4月までに鶴見大学歯学部附属病院ドライマウス専門外来を受診した2, 269名を対象に, 1.性別と年齢, 2.主訴・受診の動機, 3.全身疾患, 4.常用薬剤, 5.唾液分泌量, 6.ドライマウスの原因の集計を行い, 次のような結果を得た。
1) 受診者の男女比は17: 83であり, 男女とも50歳代から受診者数が増加し, 女性では60歳代, 男性では70歳代の受診が最も多かった。2) 65歳未満と比較し, 高齢者では男性の受診率が増加しており, 高齢者での性差の縮小がみられた。3) 口腔乾燥感を主訴とする受診者は44.1%であり, 口腔粘膜の疼痛 (28.7%), 唾液や口腔内の粘稠感 (8.3%), 違和感・異物感 (7.1%), 味覚異常 (3.1%), 口臭 (1.9%) の順に多かった。4) 全身疾患は, 高血圧が30.7%に認められ, 次に脳血管障害を含む精神・神経系疾患 (25.4%) が多かった。5) 非シェーグレン症候群性ドライマウスは92.5%にみられた。6) シェーグレン症候群は, 全調査対象の7.0%であり, そのうち65歳以上の高齢者が53.5%を占めていた。
以上のような結果から, ドライマウスの成立機序には加齢に伴う複合的な要因の関与が示唆された。