老年歯科医学
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介護老人福祉施設入居者における唾液中の歯周病関連細菌とその関連因子
久野 彰子菊谷 武田村 文誉関野 愉児玉 実穂町田 麗子沼部 幸博
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2008 年 23 巻 1 号 p. 12-20

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抄録

介護老人福祉施設入居者における唾液中の歯周病関連細菌数と口腔内状態, および全身状態との関連について検討を行った。対象は介護老人福祉施設6カ所の入居者で, 同意と協力の得られた37名 (男性13名, 女性24名, 平均年齢82 .1歳) とした。入居者の唾液を採取し, PCR-Invader法により唾液10μ1当たりのAggregatibacter actinomycetemcomitans (A.a), Prevotella intermedia (P.i), Porphyromonas gingivalis (P.g), Tannerella forsythia (T.f), Treponema denticola (T.d) の菌数を測定した。測定した菌数と入居者の年齢, 性別, 介護度, BMI, 歯周病の臨床パラメーター, 舌苔付着量, 食物残渣量との関連を検討した。
その結果, 重度歯周炎のある群に, P.g, T.f, T.dが軽中等度群と比較して有意に多く検出され (p<0.05, p<0.05, p<0.01), 介護度, BMI, および食物残渣量と各細菌数との問に有意な関連は認められなかった。これらの結果より, 唾液から検出される歯周病関連細菌は, 入居者の全身状態にかかわらず, 主に歯周組織の状態と関連して検出されることが示唆された。

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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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