老年歯科医学
Online ISSN : 1884-7323
Print ISSN : 0914-3866
ISSN-L : 0914-3866
高血圧患者の抜歯時におけるalprazolamの効果 (その1)
木田 正芳広田 康晃渋谷 徹丹羽 均松浦 英夫
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 5 巻 1 号 p. 17-22

詳細
抄録
高血圧患者の歯科治療に際しては, 重篤な合併症を未然に防ぐため, 精神的および身体的ストレスを可及的に避ける必要がある。特に, 抜歯等の観血処置においては注意しなければならない。今回, 我々は, 高血圧患者の抜歯時において, トリアゾロベンゾジアゼピン系の抗不安薬alprazolarn (ソラナックス®) を前投薬として用い, その有効性と安全性について検討する目的で, 待合室および治療中の循環動態を観察し, 次の結果を得た。
1. alprazolam 0.4mgを前投薬として用いた場合, 待合室における循環動態各パラメータ (収縮期血圧, 拡張期血圧, 平均動脈圧, 心拍数, RPP以下同じ) の値はやや低下を示したが有意ではなかった。
2. alprazolam 0.4mgを前投薬として用いた場合, 治療中における循環動態各パラメータの最高値は非投与時に比べ有意に低下した。
3. alprazolam 0.4mg前投与により, 治療中における循環動態各パラメータの最低値および変動値 (max-mini) はやや低下したが有意差は認められなかった。
以上の結果より, alprazolam 0.4mgの前投与は, 高血圧患者の抜歯に際し, 精神的ストレスを軽減させ, かつ, 治療中の循環動態の安定に著しく有効であることが示唆された。しかし, 眠気, ふらつき等の副作用および現在の常用薬に対し, 十分考慮した上での投与でなければならない。
著者関連情報
© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top