抄録
義歯患者の多くが義歯性の口腔粘膜疾患に罹患し, 特に老年無歯顎患者には顎堤の萎縮が著明な総義歯難症例が多く, 不満足な食生活を送っているのが現状である。
これら患者の口腔内はじめ口顎系の症状の病態は様々であり, これらの症状の改善には, 義歯の改造や清掃指導のみで効果がある場合と, 外科的な処置を必要とする場合がある。
一方, 我々は組織反射スペクトル解析法による口腔粘膜の観察を行っている。
本論文は, 乳頭状過形成, 義歯性線維腫, フラビーティシューの各1治験例の症状と治療法について, 特に外科的処置との関連で検討したものであるが, 乳頭状過形成についてはスペクトル解析法による観察結果も示した。