老年歯科医学
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口腔乾燥症に関する臨床的研究
口腔乾燥感を訴える患者における服用薬物の影響
堀田 博子各務 秀明重冨 俊雄澤木 佳弘宇佐美 雄司上田 実金田 敏郎
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1994 年 9 巻 1 号 p. 19-25

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抄録

本研究は口腔乾燥感を訴え受診した患者における服用薬物状況, 唾液分泌量, 唾液腺機能に関して検討を行ったものである。対象は, 過去7年間に名古屋大学医学部附属病院歯科口腔外科を受診した患者で, 唾液腺組織に障害を与える全身疾患, 糖尿病などは除外した。検討項目は, 年齢, 性別, 合併疾患, 服用薬物であり, 患者の協力が得られた症例に関しては10分間安静時全唾液量, 99mTcシンチグラフィーに関しても検討を行った。患者の平均年齢は59.6歳であり, 男女比は1: 3で女性に多く認められた。次に60歳以上と60歳未満の2群に分け, それぞれの項目に関して比較検討を試みた。全身合併症を持つ割合は, 60歳以上の群63.2%, 60未満の群44.6%であり, 合併疾患としては両群とも循環器系疾患が最も多く認められた。薬物服用率は, 60歳以上の群44.9%, 60歳未満の群34.9%であった。服用薬物の種類では, 60歳以上, 60歳未満の両群で消化器系疾患治療薬が最も多く, 口腔乾燥を惹起する可能性がある薬物の服用数は60歳以上の群1.7剤, 60歳未満の群1.0剤であった。薬物服用が有る者 (+), 無い者 (-) で10分間安静時唾液量の平均についてみると, 60歳以上の群で (+) 1.8ml,(-) 2.5ml, 60歳未満の群で (+) 2.9ml,(-) 2.9mlであった。シンチグレードに関しては, 年齢服用薬物, 安静時唾液量との間に明らかな相関は認められなかった。

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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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