老年歯科医学
Online ISSN : 1884-7323
Print ISSN : 0914-3866
ISSN-L : 0914-3866
口腔カンジダ症に対する経口用miconazoleの効果に関する研究
村松 慶一鈴木 章山根 健村木 太高島 巌藤山 直菊谷 武石田 鉄光稲葉 繁
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 9 巻 1 号 p. 26-33

詳細
抄録

Candida属は, 口腔内常在微生物の一つであるが, 宿主の抵抗力の減弱などによって日和見感染を引き起こし口腔カンジダ症の原因となる
。今回我々は, 口腔カンジダ症患者に対し経口用miconazole (フロリードゲル®) を用いて, その臨床効果と嚥下による全身への影響を検討した。
対象は口腔カンジダ症患者14名 (男性8名, 女性6名, 平均年齢75.3歳) とした。2週間の連続投与後の総合評価では, 自覚症状の改善率76.8%, 他覚症状の改善率52.8%, 真菌消失率は84.6%であった。有効率は, 92.3%と高かった。また, 副作用は5例に見られ, そのうち4例に本剤との関連性が疑われたが, いずれも軽度あるいは中等度であった。しかし, 血液検査, 生化学的検査いずれも投与前後に差は見られず, 嚥下による全身への影響は見られなかった。
本剤はゲル状の内服薬であり, 義歯の粘膜面および口腔粘膜に塗布し, 長時間口腔内に含んでおくことにより, 患部に的確に有効濃度が到達するため, 一般の外来通院患者ばかりか入院高齢患者や家庭療養中の高齢患者も容易に使用できるという利点を持っている。今後日本の高齢者人口の増加により, 入院・在宅患者やA.D.L.の低下した患者の増加を考えると, 内服薬である経口用miconazoleは使用方法の簡便さ, 有効率の高さから見て, 口腔カンジダ症に対して有効な薬剤であると考えられる。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top