抄録
便潜血検査(FOBT)を用いた大腸がん検診は無作為化比較対照試験や多くの観察研究により科学的に死亡率減少効果が証明されているが, これは実際の検診現場での有効性を保障するものではない。研究と同様の検診効果を得るために精度管理という作業を行う必要がある。大腸がん検診の精度管理ではFOBTと精密検査(精検)の受診率向上, 要精検率の制御が重要である。大腸がんの前臨床期は比較的長いため, 症状発現までにFOBTを数回以上受診することによりprogram sensitivityを上げ大腸がんの発見に結びつけることが検診の戦略となる。従って, FOBTは感度よりも特異度を重視すべきである。
精検については全大腸内視鏡検査が基本となるが, 内視鏡検査は検査医の能力に大きく依存する検査法である。このため検査医の能力の正確な評価方法や所見の記載方法などの標準化を行う必要がある。