日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
「胃がんリスク評価のABC分類」導入自治体の現状調査
鈴木 英雄齋藤 洋子
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2015 年 53 巻 4 号 p. 463-470

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抄録

胃がんリスク評価のABC分類を導入している75自治体にアンケート調査を行い, 60%から回答を得た。調査項目は導入時期, 通常の胃がん検診との関係, ペプシノゲン(PG)I, I/II比, ヘリコバクター・ピロリ(HP)抗体のカットオフ値で, 一部の自治体には追加で導入前後の胃がん発見率を調査した。導入自治体数は平成23年度以降に大幅に増加していた。通常の胃がん検診とは区別して行っている自治体が多かったが, 一部は胃がん検診の代用としていた。PGI, I/II比, HP抗体のカットオフ値はそれぞれ, 70ng/ml以下, 3以下, 10U/ml未満が最多であったが, I/II比を4以下としている自治体もあった。導入前後の胃がん発見率は, がん発見数が0の自治体を除くと, 導入前が平均0.20%, 導入後が平均0.31%であった。ABC分類の運用方法は自治体間で差があり, その利点を適切に評価するためには標準化と集約的なモニタリングが望まれる。

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© 2015 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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