2015 年 53 巻 4 号 p. 509-513
症例は58歳女性。毎年当院で人間ドックを受けており, 便潜血検査は陰性であった。直近の人間ドックは2013年1月で, 便潜血陰性であった。同年7月に腹痛を主訴に当院を受診し, CT検査で直腸癌による腸閉塞と診断された。高度の腹痛を認めたため, 緊急でハルトマン手術を施行した。切除標本の肉眼型は4型, 大きさは50×45mmで, 病理診断はtub2>por2, pT3(ss), ly3, v2, pN2(23/25)であった。造影CTおよびPET-CT検査で多発肝転移を認め, これらは切除不能と判断し, 化学療法を開始したが, 術後13ヵ月で原病死した。定期的な検診を受けていたにも関わらず進行した状態で診断された教訓的な症例であり, 文献的考察を加えて報告する。