日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
当院での極細径内視鏡による胃がん検診の精度
平嶋 勇人鍋田 陽昭小柳 亮太阿部 康弘中道 太郎平嶋 勇希杉田 旭鈴木 淳青木 一浩熊野 秀俊小森 俊昭海野 均
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2016 年 54 巻 4 号 p. 528-538

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抄録

2014年4月1日から12月31日までの9ヶ月間に, 極細径内視鏡による胃がん検診を行った10958件(対策型検診3448件・ドッグ7510件)を対象とし, がん発見率, 早期がん率, 治療法, 生検率, 生検適中度, 偽陰性がんについて検討した。胃がん症例は22件で発見率は0.20%であった。早期がん率は95.50%(21/22)で, 進行胃癌が1例(初回)であった。早期癌の治療は(追跡不能1例を除く)20例中15例(75%)がESDで, 5例は手術でいずれも根治された。生検率は7.01%(773件)で生検適中度は2.80%(22/773)であり, 当院における極細径内視鏡による胃がん検診は, がん発見率・早期がん率は全国平均と比して比較的満足出来る結果であった。また生検率は低い傾向にあるが, 生検適中度は適正と考えられた。発見がんの大部分が内視鏡治療可能であり, 有効な内視鏡検診が行われていると判断出来る一方で, 過去3年間に検査歴があるものを偽陰性がんとした場合, その偽陰性率は59%と高率であり, 撮影方法やダブルチェック方法の見直し, ハイリスク群への対応など今後の精度管理対策の見直しが必要と考えられた。

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© 2016 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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