日本消化器がん検診学会雑誌
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会長講演
膵癌診療の進歩
須山 正文
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2016 年 54 巻 5 号 p. 620-623

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抄録
膵癌の予後は未だ不良で, 死亡数は肝がんを抜いて第4位となった。罹患数の増加から見ても今後も増加する見込みである。膵癌の診断は画像診断のレールに乗ると小さな癌が診断できるようになっている。予後の良い癌は上皮内癌, 腫瘍径10mmまでの微少浸潤癌であることを述べ, 拾い上げ診断の重要性を強調した。膵癌の罹患数は3万人強で一般の検診に向かないので検診対象者を絞り込むためリスクファクターを用いることが必要と考えられた。
膵癌のリスクファクターのうち耐糖能異常は約60%にみられ, 膵管内乳頭粘液性腫瘍の経過中に3例の膵癌が発生したことから糖尿病と膵管内乳頭粘液性腫瘍の経過観察が重要であるが, 糖尿病だけでも700万人を超しておりさらなる絞り込みが必要で年齢を加味した今後の大規模な検討に期待したい。
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© 2016 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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