日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
胃X線検診画像によるHelicobacter pylori感染診断について教育講演の有効性
中島 寛隆工藤 泰
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2017 年 55 巻 2 号 p. 184-190

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抄録

目的:Helicobacter pylori(H. pylori)感染のX線診断では, 活動性胃炎と粘膜萎縮の所見が重要である。本稿の目的は, X線像の粘膜ヒダ性状や分布から胃炎と萎縮を診断する読影法の教育講演によって, H. pylori感染のX線診断精度が向上するかの検証である。
対象と方法:対象はX線法による胃がん検診に従事する診療放射線技師と医師の計38名(診療放射線技師が31名)である。診断精度の判定にはH. pylori血清抗体価が明らかな胃X線検診画像を用いた。教育講演の前後で, H. pylori 感染の診断精度を比較した。
結果:講演前の診断成績は感度が76.3%で特異度82.9%, 講演後は感度93.2%で特異度は89.7%といずれも有意に向上した(P<0.05)。
結論:胃炎と粘膜萎縮の読影法を基にした教育講演によって, 胃X線検診におけるH. pylori感染診断の精度が向上すると考えられた。

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© 2017 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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