日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
胃X線像における粘膜萎縮(粘膜ひだの領域, 粘膜ひだの形態, 粘膜面の性状)の12年間にわたる変化
西川 孝芳野 純治
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2017 年 55 巻 5 号 p. 627-639

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抄録

我々は長期経過観察することのできた胃X線検診受診者を対象に粘膜萎縮の変化について検討した。12年間経過観察できた1,457例中550例(37.7%)に粘膜萎縮を認め, うち81例(14.7%)に粘膜萎縮の変化を認めた。粘膜萎縮の退縮・改善例は萎縮が認められた550例中21例(3.8%)で, 萎縮の進行例は60例(10.9%)であった。粘膜萎縮の変化は50歳未満では少なく, 50歳以上に多くみられた(p≦0.01)。粘膜萎縮の退縮・改善例は39歳以下が多く, 40歳以上では進行例が多かった。
12年間における粘膜萎縮の変化は, 退縮・改善例の21例中5例(23.8%)が粘膜ひだ領域は不変で, 粘膜ひだの形態と粘膜面の性状は, 全例が退縮・改善していた。一方, 粘膜萎縮の進行例は60例中49例(81.7%)に粘膜ひだ領域の変化を認め, 51例(85.0%)に粘膜ひだの形態変化を認めた。しかし, 粘膜面の性状変化は60例中21例(35.0%)と少なく, 粘膜萎縮の変化は, 多様であると思われた。

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© 2017 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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