日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
ピロリ菌感染を考慮した胃がん検診の取り組み:鳥取県・伯耆町における試み
八島 一夫長谷川 亮介謝花 典子河口 剛一郎磯本 一
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2019 年 57 巻 4 号 p. 561-570

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抄録

鳥取県伯耆町は20歳と35~70歳の住民を対象として2014年度より5年間, 血清Helicobacter pylori(H. pylori)抗体検査結果より内視鏡検査, 除菌療法に誘導する試みを開始した。血清H. pylori抗体陰性例には血清ペプシノゲン(PG)法を追加した。2014~2016年度対象者の受診率は33.9%(1988/5866)であり, 血清H. pylori抗体陽性率は33.0%(657/1988)であった。受診率は女性, 60~70歳で高く, 30~50歳代で低い状況であり, 血清H. pylori抗体陽性率は20歳8.0%で, 年代と共に上昇していたが, 60~70歳においても40%以下であった。精検内視鏡受診率は3年間で72.8%(500/687)であり, 2例の早期胃癌が発見された。また, 血清H. pylori抗体陽性精検受診者における除菌施行率は97.2%(458/471)と高率であった。一方, 2014年度要精検者で次年度以降3年間に1回以上内視鏡検診を受診した者は28.8%(93/323)と低率であった。本事業では受診率, 内視鏡精検受診率の向上のみならず, 胃がんリスクのある要精検者を定期内視鏡検診受診に導くことが重要である。

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© 2019 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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