2021 年 59 巻 1 号 p. 49-57
【背景】対策型胃がん検診において,胃X線検査がエビデンスを持つ唯一の検査として長らく実施されてきた。日常臨床では,内視鏡検査がX線検査にとって代わり消化管検査の第1選択となっているのが現状であり,検診と臨床の現場において大きな乖離を感じる時期が続いていた。
【対象と方法】和歌山市では,2012年度より市独自に内視鏡検診を選択可能として実施してきた。その後,「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年度版」での推奨をもとに,2015年度よりダブルチェックシステムを導入した内視鏡検診を開始した。
【結果】胃がん発見率は,X線単独時期(0.06)と比較して,内視鏡導入(0.29),ダブルチェックシステム導入(0.55)により段階的に有意な上昇を認めた(p<0.01)。胃がんだけでなく食道がんの発見率も上昇を示した。発見されたがんの大部分は一次読影時に指摘されており,研修会や評価シート導入による内視鏡検診全体の精度向上による効果と考えられる。
【結語】ダブルチェックシステムを導入した胃内視鏡検診によって胃がん発見率は有意に増加を示した。一方,受診率は導入当初は増加傾向を示すも横這い状態であり,引き続き受診勧奨を含めた精度管理の強化が必須と考える。