2022 年 60 巻 1 号 p. 14-20
【目的】胃X線検査の背景胃粘膜診断において,粘膜萎縮とひだ肥厚はHelicobacter pylori感染症例に認められる2大所見である。両所見の胃がん発症予測に関する有用性を検証する。
【対象と方法】除菌歴・胃酸分泌抑制剤内服・胃手術歴のない胃X線検査被検者6,433人について10年間の前向き観察を行い,胃がん発症と粘膜萎縮・ひだ肥厚の関連について解析する。
【結果】研究開始時点で,粘膜萎縮は1,936人(30.1%)に,ひだ肥厚は1,253人(19.5%)に認められた。その後10年間で17人に胃がんが発症したが,このうち15人(88.2%)に粘膜萎縮,11人(64.7%)にひだ肥厚が認められた。カプラン・マイヤー曲線を描出してログランク検定を行ったところ,粘膜萎縮(p<0.0001)とひだ肥厚(p<0.0001)のいずれも有意な胃がんリスク予測マーカーであった。また,粘膜萎縮の進行(正常,軽度萎縮,中等度萎縮,高度萎縮:p<0.0001),ひだ肥厚の増悪(正常,中等度ひだ肥厚,重度ひだ肥厚:p<0.0001)に伴って,胃がん発症リスクが高まることが示された。
【結語】胃X線検査における粘膜萎縮とひだ肥厚の診断は,胃がん発症予測に有用である。